昨年末の記事で紹介できなかった大師堂の奉納幕を撮影してきました。
潮音寺住職の幸山和尚の直筆の奉納幕です。
余談ですが、この書を見て、和尚さんに、「文字の散らし方(垂直に文字を書かずに敢えてななめに書いたりする方法)が絶妙ですね。」と伝えたところ、和尚さんは不思議な顔をしていました。
後で、奉納幕をよくよく見たところ、文字を散らしているのではなく、奉納幕を真ん中で搾り上げているため散らしているように見えただけでした。笑。
さてさて、書いてある文言は、『南無大師遍照金剛(なむたいしへんじょうこんごう)』です。
真言宗に縁のある方は何のことかがわかるかと思います。そうでない方も、『大師』に注目するとピンと来るかと思います。
そう「弘法大師(空海)」のことなんですね。
※実際には、弘法大師の他にも「大師」は存在しているようなのですが、あまりにも弘法大師の名が大き過ぎて、現在では「大師」=「弘法大師」のようになっています。
何故、大師堂の奉納幕に弘法大師(空海)を示す文言かと思うかも知れませんが、御座爪切不動尊ははるか昔に空海によって建立されたものと伝えられてきています。そして、空海が修行の際に利用した社がこの大師堂であると・・・。
と、話を少し戻して、「遍照金剛(へんじょうこんごう)」について、少し・・・。
上にも書いた通り、志摩地域は空海に縁のあるものとして昔から言い伝え継がれています。そのような中でできた方言だと思うのですが、御座地区には「遍照金剛」をもとにした方言が存在します。(最近は、ほとんど使われなくなっています。)
どんな方言かと言いますと、家族や友人などとの会話の中で、こんな感じで使います。
「欲しかったら、へんじょうこんごうせぇ。」
意味としては、「欲しかったら、土下座して手を合わせ、何遍も頭を下げて頼みなさい。」ということです。
つまるところ、「ひとにお願いごとをするときには、遍照金剛様にお願い事をするかの如くお願いしなさい。」という、少しユーモアに溢れた方言なんです。
今となって考えると、方言の「へんじょうこんごう」は空海伝説から生まれてはいたんですが、皆さんそのことを認識せずに使われていたようで、それほど自然に空海弘法大師の存在が御座地区に浸透していたようです。
というわけで、今回は少し趣向を凝らしたお話しをさせてもらいました。
※昨年から「御座学」(講師:三橋先生)という御座地区の歴史学の授業を受講しており、三橋先生からたくさんの御座地区の歴史、御座爪切不動尊の歴史を学ばせてもらっています。
『伊勢志摩の国「御座」あれこれ』にて、三橋先生が資料を纏めてくれていますので、良かったら覗いてみてください。
そして、最後に、御座爪切不動尊の純白の奉納幕・奉納幟の写真を1枚・・・。
あ、そうそう、この『御座爪切不動尊』のブログを楽しみにしていただいている方々から、ブログの更新頻度が遅いという温かいご指摘をいただくことが増えてきました。
・・・。
そんにブログの更新頻度を早くして欲しかったら、へんじょうこんごうせぇ!!